恋の破片
寒さを感じ、
ゆっくりと瞳をひらく。
頭がぼーっとして、
なかなか現実に戻れなかった。
ーーいっそ、もうちょっと寝ようかな。
なんて、考えていた時
制服のポケットで携帯が震えた。
どうやら、電話らしい。
ディスプレイには、
会いたかった人の名前が。
ドキドキする胸を抑えて
ボタンを押した。
『もしもし』
数ヶ月ぶりに聴く、春の声。
彼氏という存在にもかかわらず
もう、何ヶ月も話してなくて。
というのも、彼はプロサッカー選手。
繊細で鮮やかなそのプレーは
世界から注目されている。
そんなこともあって
日本代表にも招集されるほど。
練習や合宿は、当たり前。
海外遠征などで、
日本を離れることもしばしばある。
もちろん、寂しくないって言えば
それは嘘だけど。
そんな彼のことをすごく誇りに思う。