恋の破片
「おいで」
まだ寝起きのトロンとした瞳で
聞いてくる。
「でも、そろそろ…」
窓の外は、既に暗くっている。
「明日、オフもらってるし
ちょっとだけ出かけよっか」
帰るか、迷ってるって知ってて
そう言うのは、ちょっとズルい。
「連絡いれとく」
そう言うと、珍しく微笑んだ春。
機嫌よく、ジャージに着替えた春は
「腹減った」
と騒ぎ始めた。
「なんか、作ろっか」
冷蔵庫を開けたものの
遠征でいなかったから、からっぽ。
仕方なく、近くのスーパーまで
買い物に行くことになった。