スミダハイツ~隣人恋愛録~
「はぁ? 何つまんないこと言ってんのよ!」


ミサに睨み上げられ、良太郎は途端に委縮した。


これだからギャルという人種は嫌なんだ。

良太郎がびくびくしていたら、ミサは腕を組んで考えるように首を傾け、



「やっぱりここは、良ちんが探るしかないっしょ」


だから、どうしてそうなるのかがわからない。

でも、ミサはもうすっかり決めたことのように言う。



「明日、良ちんがここに、榊を呼ぶの。お酒でも飲もうって言えば来るっしょ、あいつ。で、酔わせて、色々聞き出すの」

「はぁ……」

「あたしは寝室に隠れてる。折りを見て指示を出すから、携帯教えといて」


言うや否や、答えも聞かず、ミサは良太郎の携帯を引っ手繰って勝手にいじる。

そして、お互いの携帯に赤外線通信で手早く番号とメールアドレスを入力させ、「今に見てろよ、榊ぃ」と、にやにやしていた。


もはや良太郎は、ミサに従うことしかできない。


それにしても、失敗は許されそうにないし、もし万が一、榊にばれたら大変なことになる。

良太郎はきりきりと痛み始めた胃をさすった。



「まぁ、とりあえず、明日メールするし」

「あ、……はい」


押し負けた形で、良太郎はそう返事をせざるを得なかった。



「ってことで、ごっちそうさまぁ」


すべてに満足したらしいミサは、『死にそう』だったのもどこへやら、鼻歌混じりに立ち上がった。


ミサはさっさと部屋を出ていく。

良太郎は皿を片づけながら、明日のことを考えて、すでに熱を出しそうだった。

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