スミダハイツ~隣人恋愛録~
榊はまたしても、きょとん顔。

そして今度は呆れたように、



「むっつりスケベだと思ってたけど、がっつりスケベ宣言って、お前」


論点はそこではないはずだ。

と、いうか、今まで榊に『むっつりスケベ』だと思われていたなんて。


だが、もはや良太郎の思考はパンクしているため、突っ込むことを忘れていた。



「僕はミサさんのことばかり考えています。ですが、それは、その、アッチの方の意味でして」

「うん」

「ミサさんのことが好きなのかなとも思いました。しかし、そんな不純な『好き』は、ありえない。何より、それは僕自身が許せません」

「うーん」

「僕は自分がこんなに気持ちの悪い人間だとは思いませんでした。恥ずかしくてもうミサさんと顔を合わせることができません」

「うん?」

「どうしたらいいのでしょう、榊さん。僕もう、苦しくて、苦しくて」

「なぁ、102」


遮った榊は、わりと真面目な顔をして、



「ギャル子に土下座して一発ヤッてもらえばよくね? な? それで解決だろ?」

「そういうことを言ってるんじゃないんです!」

「じゃあ、何だよ」


『何だよ』と、聞かれても、良太郎は答えられなかった。

良太郎が考えを巡らせていると、榊は、



「お前は、つまり、ギャル子とヤリてぇわけだろ? だからヤッてもらえって言ってんだよ、俺は」

「………」

「つーか、お前は自分のことをきもいと思ってるみたいだけど、相手が誰であれ、セックスがしたいと思うのは、普通のことだぞ? 人間に本来備わってる機能なわけだし、何を恥じることがある?」

「………」

「俺は、逆に、そんなことでいちいち赤面してる102を見てる方が恥ずかしいよ。思春期のガキじゃないんだから。むしろお花畑で暮らす乙女かっつーの」
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