スミダハイツ~隣人恋愛録~
最近、隣人の様子が変だ。
まず、挙動不審になることが増えたし、時々、ミサを凝視して鼻の穴を膨らませている。
だからミサはその度に「何?」と聞いてみるわけだが、すると隣人は、決まって「ひゃいっ!」と変な声を上げてびくりとする。
元から変わってるとは思ってたけど、それにしても、最近はあんまりだ。
「もういい。ここで降ろして」
男に車で送ってもらう最中、近所のコンビニまで差し掛かったところで、ミサは無理に停車を促した。
「また連絡する」とだけ言い捨て、ミサはさっさと車を降りる。
とりあえずコンビニで飲み物でも買って帰ろうと、思って店の明かりの方に目をやったら、
「見ーたーぞぉ」
にやにやしながらコンビニから出てきた榊が。
「げっ、最悪」
わざと声に出して不愉快さを伝えてやったが、もちろん榊にそんなものが通じるはずもない。
ミサは舌打ちを吐き捨て、飲み物を買うのを諦めて、榊を無視して歩き出す。
が、榊はひょこひょことミサの後をついてきた。
「ついてくんな」
「同じところに帰るんだろ? そう冷たいこと言うなよ、ギャル子ぉ」
にやにやにやにや。
ミサはまるで、榊に弱味を握られたような気分になった。
「っていうか、あんたいい加減、あたしのこと『ギャル子』って呼ぶのやめてくんない? あたしギャルじゃないし」
「いや、お前はギャルだ。だから、『ギャル子』だろ。それとも、ヤリマンとかクソビッチって呼ぶ方がいいか?」
「それただの悪口でしょ!」
ミサは憤慨し、
「ほんっと、榊なんかと話してるとこっちまで馬鹿になる!」