スミダハイツ~隣人恋愛録~
しかし、榊はそれでひるむような男ではない。
「まぁ、まぁ」と、ミサをなだめるように言いながら、
「お前さぁ、いい加減、そういう生活どうにかしろよなぁ。ヤルなとは言わねぇけど、安売りすんなよ。お前の親は、そんなことのためにお前をひとり暮らしさせてるわけじゃねぇと思うけど」
「はぁ? 説教? 超うざい! ジジイの榊には関係ないっつーの!」
怒りのままに吐き捨てた。
榊は困ったように肩をすくめ、
「お前はさぁ、お前自身が思ってるほど孤独じゃないと思うけど。『関係ない』なんて言って、大事なもんまで切り捨てるなよ」
ミサは途端に言葉が出なくなった。
ミサは、寂しいから、男を求めている。
『スミダハイツ』は確かにぬくもり溢れるいいアパートだが、いくらそこに安心感があっても、実際問題、ミサは部屋でひとりなのだ。
だから、たとえひと時だとしても、男にそれを癒してもらおうとする。
榊は、そんなミサの心情を見抜いているらしい。
「そりゃあ、榊は、隣の部屋の女とヤッてるからいいだろうけど! 何? 自分は幸せだから、今度はそれを人に分け与えましょうって? それこそうざい!」
「ギャル子」
たしなめるようにミサを呼ぶ榊。
ミサはぐっと唇を噛み締め、目を逸らした。
「ごめん。言い過ぎた」
榊は、ムカつくけど、不思議なやつだ。
嫌いになりきれなくて、だからいつも喧嘩友達みたいになっている。
榊は「うはは」と笑い、ミサの頭を撫でた。
「まぁ、悩めよ、若いんだから」
榊を筆頭に、『スミダハイツ』の住人はみんな、何だかんだでミサの生き方を否定したりはしないし、もちろん変な目で見たりもしない。
大学ではかなり浮いた存在のミサにとっては、だから唯一の居場所のようにも思えるのだ。
「まぁ、まぁ」と、ミサをなだめるように言いながら、
「お前さぁ、いい加減、そういう生活どうにかしろよなぁ。ヤルなとは言わねぇけど、安売りすんなよ。お前の親は、そんなことのためにお前をひとり暮らしさせてるわけじゃねぇと思うけど」
「はぁ? 説教? 超うざい! ジジイの榊には関係ないっつーの!」
怒りのままに吐き捨てた。
榊は困ったように肩をすくめ、
「お前はさぁ、お前自身が思ってるほど孤独じゃないと思うけど。『関係ない』なんて言って、大事なもんまで切り捨てるなよ」
ミサは途端に言葉が出なくなった。
ミサは、寂しいから、男を求めている。
『スミダハイツ』は確かにぬくもり溢れるいいアパートだが、いくらそこに安心感があっても、実際問題、ミサは部屋でひとりなのだ。
だから、たとえひと時だとしても、男にそれを癒してもらおうとする。
榊は、そんなミサの心情を見抜いているらしい。
「そりゃあ、榊は、隣の部屋の女とヤッてるからいいだろうけど! 何? 自分は幸せだから、今度はそれを人に分け与えましょうって? それこそうざい!」
「ギャル子」
たしなめるようにミサを呼ぶ榊。
ミサはぐっと唇を噛み締め、目を逸らした。
「ごめん。言い過ぎた」
榊は、ムカつくけど、不思議なやつだ。
嫌いになりきれなくて、だからいつも喧嘩友達みたいになっている。
榊は「うはは」と笑い、ミサの頭を撫でた。
「まぁ、悩めよ、若いんだから」
榊を筆頭に、『スミダハイツ』の住人はみんな、何だかんだでミサの生き方を否定したりはしないし、もちろん変な目で見たりもしない。
大学ではかなり浮いた存在のミサにとっては、だから唯一の居場所のようにも思えるのだ。