秋から冬への物語

ところが
中学校に上がった途端、俺たちは試合で勝てなくなった。

小学生の頃とはレベルの違う投手の球に、先輩含め打線は苦戦した。
県大会出場も危ぶまれるほどだった。


──俺は打たれない。
でも点が取れなければ、勝ちは無いのだ。


三年生に上がるとすぐに、各高校のスカウトがひっきりなしに俺のもとへやってきた。

野球雑誌や新聞の取材もかなりの数をこなしてきた。



俺たちの学校は、いつしか『槙のワンマンチーム』なんて呼ばれるようになってしまった。



その事でチームのモチベーションも下がり
野球に嫌気がさして、部を辞めてしまう奴もいた。


だんだん、チームが噛み合わなくなって
呼吸が合わなくなっていく。


そして

あの夏が やってきた。



「ふははっ」

< 10 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop