突然お嬢さま!?
「そろそろ家に戻ろう。慎也、もういいかな?」

「うん、満足したよ」
慎也はゆっくり頷いて、外の景色を見る。

「ここからの眺め、すごいね」
私も見る。
今日は秋晴れだから、遠くまできれいに見えた。

「うん、たまにここに来て、外を眺めていた。気持ちが良くなるんだよね」
慎也が笑った。


社長室を出ると廊下に涼子さんがいた。

「あ、帰るのね」
涼子さんの目が赤い。
泣いたみたい。

胸が締め付けられる。


私が加賀見家の家族になって初めての4人で出掛けた今日のことは一生忘れられない日になるだろう。

慎也の思いをしっかり受け止めて、進むべき道を歩いて行こう。
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