突然お嬢さま!?
瀬尾先生は私を上から下までゆっくりと眺めた。

「瀬尾先生?行きましょ?」
瀬尾先生の顔の前で手を振る。

「あ、ああ・・」
ハッとした顔をする。

「どうしたの?」

「まさか着物だと思わなくて…ちょっと見とれた」

意外な言葉が瀬尾先生から出たので、私は顔が赤くなった。


「ねえ、似合うでしょう!?」
照れ隠しのため…調子に乗って両手を広げてみせる。

「うん、かわいい」

またまた瀬尾先生からそんな言葉が出るなんて予想外だ。

戸惑う。


「行こう」
助手席のドアを開けてくれた。

「ありがと」
助手席にお行儀良く座った。

着物だとだらけた座り方が出来ない。
自然と姿勢が良くなる。

「おしとやかに見える。着物効果はすごいね」

「あたしもそう思う」


車内に笑い声が響いた。





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