突然お嬢さま!?
また天井を見つめる慎也。


私たちは慎也から目を離さなかった。
慎也はゆっくり目を閉じた。

目を閉じた瞬間、私たちは息を飲んだ。


数秒後、またゆっくり目を開けた。
ホッとする。


少し顔を動かして、お父さんと涼子さんを見た。
何か伝えようとする。

2人は慎也に近付いた。


「父さん…母さん…2人の子供に生まれて幸せだった。ありがと…」

「慎也…」
涼子さんの目から涙がこぼれた。

「慎也がいたから私たちは幸せだった…」
お父さんが慎也の頭を撫でた。

優しく笑った。


そして



息を引き取った…。

16才の誕生日まであと3週間だった。

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