突然お嬢さま!?
周りを見ると人が少なくなっていた。


「真那、そろそろ行かないと始まるよ」

いつの間にか、賢人が前に立っていた。

賢人に手を引かれて、ベンチから離れた。

賢人は受付係をしていた。


「いつまで経っても来ないから迎えに来た」

「そろそろ行こうと思っていたの」

「また空にいる慎也くんに話していたの?」

「うん」


賢人は私の手を握って、優しく微笑んだ。


「慎也くんとの夢を叶えるための第一歩が今日だろ?入学式、さぼるなよ?」

「ひど~い、ちゃんと行くつもりだったよ」

「ほっといたら、ずっとあそこに座っていそうだったから」


賢人は笑う。

「ほら、一番最後だよ」

本当だ。
私が一番最後だったみたい…

私が入ったらドアが閉まった。

「俺は後ろから見ているから」

賢人は受付席に向かって歩いて行った。
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