君に逢えたら
 その【何か】を知っていたら、私たちの運命は変わっていた。絶対に。
もっと冷静に、1秒1秒を大切にしたかった。
…今更後悔しても遅いんだけど。

 「あお!みさき!ここベンチあっから早く来いよっ!」
樹に呼ばれ、二人で何事もなかったように走った。

「さくらー…、本ッッ当凄いよねぇー」
「みさき、さっきからソレばっかぁー」
桜の散る木の下。ほどよい陽射し。私たちはベンチに座って、それぞれの想いをはせつつ、春の暖かさに心を和ませていた。
< 10 / 11 >

この作品をシェア

pagetop