君に逢えたら
第二章:12歳

陽射

 春。

 2005年04月08日

 「ねぇ!今度の日曜、お花見行かなーい?」
思えば美紗希のこの一言が、私達の全ての始まりだったよね。
 
 永野愛緒(ながの あお)。この頃の私は、千葉県の田舎にある小さな小学校の6年生、12歳。
 
「いーねぇ!!行きたーいっ」

 私は、何処にでも居るようなお父さんと血の繋がらないお母さんと3人暮らし。

「…って、どこかにある?お花見出来るようなとこ」
「それはさー…当日チャリで探そう!!」
「うわッ!何それぇー、駄目じゃーーん!」
 私たちの住んでいるこの町は、辺り一面、山と田んぼに囲まれている。
【遊び】といえば、大半は自然の中ですごすことが多かった。
―正直、【不便】と思う時も多々ある。けど私は、この清々しくて、暖かいこの町が好き。春には春の、夏には夏の風が、空があるこの町が好き。

 「てかさ、2人じゃ寂しくない?誰か誘おー」
 私のたった1人の信じられる心友、葉山美紗希(はやま みさき)。誰にも優しくて、思いやりがあって…。この時から13年経った今でも、本当に本当に信頼できる子。だけどその【優しさ】が、時には自分を苦しめ、他人さえも苦しめることになるなんて、私たちは未だ知らなかった。





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