君に逢えたら
隼飛は明らかに嫌そうな顔で居る。
「おい、俺まだ行くって言ってないけど。…勝手に決めんなよ!」
「えぇ~?隼飛も樹と一緒で暇人なくせにぃー」
美紗希は隼飛を行かせようと彼女なりに必死に食い止める。
「あ、しかも隼飛が行かないと樹ハーレムじゃん!!駄目、そんなの!」
冗談交じりに私も美紗希に加勢した。
「え、ハーレムって…お前女だっけ?」
「…黙れハゲ樹!」
ゴツン!…と鈍い音が教室に響いた。何人かがこっちを振り向く。
「いってぇぇぇ~!!!」樹は頭を抱えて唸った。…ちょっと力入りすぎちゃったかな?
「頭殴んな!冗談抜きにハゲるわ!!!」
「…美紗希、俺やっぱ行くよ。…樹が殺されそうだし」
「あ、ほ、本当?…良かったぁ!」
美紗希の頬はまるで旬の桜のように薄紅色に染まっていてなんとも可愛らしい。
「おら、2人!俺も行くから。変な口喧嘩止めろ」
「え!行くことにしたの?さっすが隼飛ぉー、話が分かるぅー」
そう言って私は美紗希と瞳を合わせて、小さく笑った。