~境界線~君だけの声が聞きたくて
「おい、どうゆうことだよ。てゆかあいつ誰?」
いつもより低い声を出すレオの不機嫌さを物語っていた。
ダメだ、クラクラしてきた。
「…っラ、クラする」
「はっ?何て言ってるかわかんねぇーよ!」
私の声がうまく出なかったのと、野次馬のうるささで私の声はかき消された。
「ねぇ、気持ち悪いんじゃない?」
声のした方に視線を向けると、黒髪の男の子がこちらを見据えていた。
私が無言でこくんと頭を頷かせると、その男の子はフッと笑った。
「気持ち悪いみたいだし、保健室行ってくれば?」
私がたとうととするとレオがはぁ~っと溜息をついた。
「フラフラしてるくせに、立つな。」
そう言ってレオにお姫様だっこをされた。ごめんねと呟いて、私の記憶は途切れたーーー。
★★★
目が覚めると真っ白い天井。
起き上がると保健室独特の匂いが鼻を掠った。
そうだ…
気持ち悪くなって、黒髪の男の子が気づいてくれたんだ。
ふと隣を見ると椅子に座り手を組み、下を向いて寝ているレオが居た。
あっ…、あたし、レオにお姫様だっこされたんだった!!
頬がカァーッと暑くなり、それと同時に頭が頬とは反対に冷めていったのが自分でも分かった。
やってしまった…
きっとまた変な噂が回ってしまう。
やっぱり教室に行くべきではなかったと自己嫌悪に陥る。
「……レオ…」