~境界線~君だけの声が聞きたくて
「ーーー呼んだか?」
えっと思い椅子に座っているレオを見た。
寝てたんじゃなかったの?!
起きてたの?!
思った事が顔にかいてあったのか、レオはしれっと答えた。
「ウトウトしてただけだよ」
「そっか。今日、さ…教室行ったりしてごめんね」
こんなに騒ぎにはなると思ってなかったし、倒れるつもりもなかったけど、それでも、やっぱり軽率だったと思う。
「そんな事は別にどーでもいいンだよ」
「…どーでもよくなんか、ないっ!!」
つい大きい声を出してしまった。キョウダイでお姫様だっこなんて、いい訳がない。
一般的には“キョウダイ”でっていうのが、“オカシイ"んだ。
「そんな事より、あの先輩こそ何なんだよ?」
「あぁ、3年の王子様だっけ?笑」
ついさっきのハル先輩を思い出し、王子とかキャラだしキャラじゃなくて、笑ってしまう。
「あいつの事ばっか考えんな」
力強い腕にギュッと苦しいくらいキツく抱かれ、ふんわりと香るレオの匂いにとても落ち着く。
あいつの事考えんなって独占欲強いレオの事だから、絶対ヤキモチだよね。
中学の時も俺以外見つめないで、とかあいつには近づいちゃダメとか…
何でダメなの?って聞いても頑なに教えてくれないし、鈍感と言われるだけだった。なつかしいなぁ~
「…ふふふ」
私口を抑えて笑ったのを見逃さなかったレオは、抱きしめていた腕は離さず少し体を仰け反らせ私の顔を除き混んで来た。
「何笑ってんだよ」
「ふふっ…可愛いなぁーっと思って」
思った事を素直に言うと、いきなり腕を離し不機嫌そうにこちらを睨んで来た。
「だから可愛いって言うなっ!お前そろそろその口癖直せよ!」
レオが言うには、“可愛い”は私の口癖らしく、そう言われるのを物凄く嫌がる。
確かに口癖かもしれないけど…どうしても私から見ると可愛いくみえてしまうのだ。
やっぱ年の差かな?
少しフラっとしながらもベッドから起き上がり、今度は私がギュッと抱きしめる。
「……….好き。」
「…知ってる、このバカ。」
そう言ったのはレオの照れ隠しで、耳の赤いレオをやっぱり可愛いなぁと思いふふって笑ってしまう。
「お前今可愛いと思っただろ」
「えっ、お、思ってないよ!」
ジロッと見られ慌てて否定するが、顔を見たら何だか可笑しくて笑っちゃいそうだったから、レオの肩に顔を埋めた。