~境界線~君だけの声が聞きたくて
キーン…コーン…カーン…コーン…
ホームルームも終わりゆずの尋問が始まった。
「だーかーらー、何にもなかったんだってば!」
「いやいや、あの状況でハル先輩が何もしないはずないでしょ!」
ないでしょ!って何の話をしているのかな?このこは
「ふつーに教室に行っただけですけどっ!」
「えっ?お姫様だっこで保健室行ったんじゃないの??」
ゆずに疑問系で聞かれ私の頭もハテナでいっぱいになる。
「違うから!保健室に連れってくれたのはレオだからっ」
「へっ?弟くん?!」
ゆずが驚くのも無理はない。
ふつーに考えてキョウダイでなんてありえないんだから。
「あれ~あたしはハル先輩と、ってきいたんだけどなぁ」
もう二年の階まで噂が廻っているのかと思うとゾッとした。
ゆずみたいにきっとちょっとずつ話がずれて行くんだろうなと思うと、ハル先輩に申し訳なくなった。
「ゆず~帰んぞ」
「あっ、うん!」
剛ちゃんが迎えに来てゆずはカバンを肩にかけ、
「まぁ、何かあったら言ってよ。あたしがみんなに否定してあげるからさ」
「ん、ありがとね。早く行かないと剛ちゃんが待ってるよ!」
大きく手を振りながら剛ちゃんと一緒に帰っていった。
私は彼女の、ゆずのサバサバしている所が好き。
サバサバしていてでも本当はすごい優しい事も知っている。
それでも、やっぱりゆずに言えないのは、言ってもこの関係は何も変わらないから。
はぁ~っと溜息が漏れる。
優しいゆずを感じるたびに罪悪感が増す。
ーーー私も帰ろう