~境界線~君だけの声が聞きたくて


一気に加速して2位を抜かした。



不意にレオはこっちを向いて、




「…美月ーーー!」



と叫んだ後“聞こえた”と口パクで伝えてきた。




ーーー私の声、届いたんだっ!!





嬉しかった。
この中から聞こえた事が届いた事が
本当に嬉しかった。




それから2年も終わり3年も終わった。
もちろんハル先輩は今年も余裕の表情で
ファンの子にピースしながからゴールしていった。




「美っ月チャーン!見た!?俺ゴールしたよ!」



嬉しそうにはしゃいでるハル先輩は、なんだかほめてほめてーと言っている犬みたいだった。




「はいはい、頑張りましたねー。」



そう言ってハル先輩の頭をワシワシと撫でた。



嬉しそうにフニャっと笑っていた。





開会式も終わりやっと学校から出れた。
朝よりは体調もよくなったものの、体育祭で疲れてか体がダルい。




本当に自分でも体力ないなぁーと思う。




帰り道、ふいにレオを見ると、その横顔が不機嫌だった。



何でだ?と思いながら話しかけようと除きこんだから、レオが口を開いた。




「ーーー俺以外のオトコに触んなよ」




いきなり何の話か分からない私に、レオは続けた。




「さっきハル先輩って奴の頭、撫でてただろ」




ーーーあの時見てたんだ、、、。





「うん、ごめん。今度からきをつける」




私がそう答えると安心したように微笑む。いつもそうしてれば周りに変な誤解しないのに。




「でもやっぱあのおまじないは効果抜群だな」




“来年もしてな”そう言って無邪気に笑うレオを見て俯く私。




ーーーその時に、私はレオの隣に居るのかな?

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