~境界線~君だけの声が聞きたくて



頭がグルグルと回るーーー




何が本当で何が嘘なのか、分からなくなる。




今まで母の言葉を信じ疑いなんてこれっぽちもなかった。




私たちはキョウダイだけど、血は繋がってないと聞かされていたから。






「ねぇ、…お母さん」


「なぁに?」


「………私とレオは本当のキョウダイなの?………」




お母さんの顔がグニャリと歪み、私に背を向けギュッと左手を握った拳をジーパンのポケットに隠したのを、私は見逃さなかった。






「やーねぇ…何言ってるの?急にそんな事言うから、お母さん、ビックリしちゃったじゃない」






知ってた?お母さん。


お母さんが嘘つくときは


左手の拳をギュッて握るんだよーーー。







これ以上聞かなくたってもう分かる、
それに証拠もあるし。





また頭がグルグル廻る、




世界も一緒に廻っている気がした。
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