シスコン総長VS溺愛総長!? 1R
「泣きそうな顔、してる」


そう言って少し骨ばった手が、ふわり優しく頭に置かれた。


「仲直り‥‥できるかなぁ」


搾り出したような声に自分でも驚いた。


涙は多少我慢できる。


だけど、気持ちを押し殺して喋る方法なんてわからなかった。


「大丈夫、だって多分。ナオさんも今の状況相当キツいはずだから」


あたしは、彼の言うことが少しわからなかった。


「ナオさんもナオさんなりの考えがあるってことだよ」


この暑さに似つかわしくない、爽やかな笑顔にあたしもつられて笑い返す。


「じゃあ、そろそろ出ようか。目的地まであと少しだけど大丈夫?」


「うん、平気」


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