シスコン総長VS溺愛総長!? 1R
あたしは店を出る準備をしようと、伝票に手を伸ばした。


だけど、その手は伝票まで届かなかった。


「見張られてる」


あたしの手を掴んで彼は、少し離れた路地を睨んだ。


「え?」


状況を飲み込めずに、素っ頓狂な声を出してしまう。


「逆に、俺らがあいつらを退治してやろうか」


さっきと同様爽やかな笑顔に似た笑みで、楽しげな声を出す。


彼は目だけを、路地に向けて伝票を取ると席を立った。


「ここは俺が払っとくから、大丈夫だよ」


「ありがとう」


ケータイしか持ってきてなかったから、少し安心した。


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