生き続ける-消えない思い出-


──────少しの間


それがどこか痛かった。




気付くと、私はもう既に、蒼と目を合わせられないでいた。



そっと前を見ると、蒼の顔が俯いている。


それだけではない


よく見ると、体全体が小刻みに震えていることが分かった。

両手には、硬くこぶしを握り締めて。



「…蒼?」


蒼の様子が明らかにおかしいと感付いた私は、静かに名前を呼んだ。


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