生き続ける-消えない思い出-
脇に挟んでいたボールを、片手で突き始める。
「本当に撮るときの目はさ、」
そこまで言った先輩は、何回か突いたボールをパシッと両手に収め、急に黙り込んだ。
────────?
どうしたんだろう
「あの」
「あー…やっぱ何でもない」
私の言葉を遮って言う登稀先輩の目は、
───あ、またその目
昨日この場所で、彼が私のカメラに触れた時の目。
瞳の中に隠されている悲しげな思い、そして入学式の日の、蒼の目。
その時と同じ瞳を、今また、この人はしている。