生き続ける-消えない思い出-
他校との練習試合が終わり、いつもならそのまま団体で学校に戻るのだけれど、登稀先輩が
「この近くに良い場所知ってる」
と言って、帰りのバスを待っている中こっそり二人で抜け出した。
いつも二人きりで話している時は普通なのに、隣に並んで歩くのはなんだかとても緊張した。
先輩との身長差が、肩を並べてみるとよくわかる。
何分か経った頃、先輩が口を開いた。
「あと少しで着くから、ここら辺から目瞑って」
「えっでも──────」
目を瞑ったら、どうやって歩けばいいの?
そう思っていると、唐突に視界が先輩の大きな手の平で塞がれた。
「大丈夫だから。ほら、早く」
私は思わず息を飲んで、慌てて自分でしっかりと目を閉じる。