生き続ける-消えない思い出-


俺が、つい隣にいる仲の良いクラスメイトを忘れて眺めていると、そいつが静かに言った。

「…綺麗だよね。この桜の木」


俺の目はそのままぶれずに一点を見続けていたけど、その言葉はちゃんと聞いていたつもりだった。


だけど、自分の胸の中にあった想いが、ほろっと出てしまった。

「俺、正直桜咲いてるときよりこっちのほうが好きかも」


言った後、少し恥ずかしくなった。

男がこんなちっこいロマンチストなこと言ったら、ひかれるかもって。


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