記憶上書き屋
目立ってはいけない
私、高橋美由紀は高校を卒業すると私は小さな文房具の製造元で事務をして働いた。

大学へ行くお金がなかった。

目立ってはいけないのだ。

小さく暮らしていかなければいけない。

高校のときに付き合った彼氏とも結局は別れた。誰も何も言わなくてもなぜか知られてしまう。

「高橋は人殺しの娘だ」

何度も何度も転校したし苗字だって母方の姓にしたのに。

どうして？私は悪くない。

「君は悪くない。でも僕には勇気がないんだ」

付き合い始めて半年たったころに阿部君が言った。

安部君は知ってしまったのだろう。どうしてこんなにも残酷なんだろう。目立っていけないのだ。

どこで誰が見てるのかわからない。
高校の卒業式で電報が張り出されていた。

高橋美由紀は人殺しの娘です。


５年まえの飲酒運転での殺人を思い出してください。高校教師たるものが酔って幼い子供をひき殺したのです。許されるはずがありません。

助けて。


どこまでも追いかけてくるこの事実。
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