小指に繋がる一本の糸






「ありがとう…知夏」

『琉依、おいで』




知夏は琉依を抱きしめる


琉依も知夏を抱きしめる



『大丈夫
パパさんはきっと、ストレスの行き場が失くなっただけ
大丈夫
また昔の、笑顔の絶えへんパパさんに戻るから』


「うん…っ」




琉依は声をあげて泣いた



知夏の目にも涙が浮かんだ




『ちぃちゃんっ』
『しぃちゃん』


『大丈夫?』
『うん、大丈夫やで
全然平気っ!!』
『…ちぃちゃん、手!!』

『あ…』



「俺が手当てする
明日学校の前に病院行こか」

『琉依、ありがとう』




琉依は知夏の手を消毒してくれて
包帯巻いてくれた






その後、お風呂に入り、床につく



知夏は眠られへんかった



パパさんが

知夏のお父さんと重なって

何度も思い出した




怖くて仕方なかった時


「来いよ」


てゆって

琉依が腕まくらしてくれた





「知夏、寝れるから
ゆっくり目ぇ閉じて」




知夏はそのまま

眠りについた










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