小指に繋がる一本の糸









pipipipi…pipipipi…


ん…?

唯から着信…めずらしい


なんかあったんかな



『…ゴホッ…もしもし?』

最近調子悪いな


『知夏…?
あのさ…落ち着いて聞いてな』

『ん…?…ゴホッ…うん』



『侑也が昨日、交通事故で入院した
今、意識ないって』




は?



ゴホッ…


『唯、なにゆってんの?』



冗談やと思ってた




『…』

黙り込む唯


知夏の顔も次第に曇っていった




『嘘やろ?』


『嘘じゃないねん』



『は?』

ピピ


『ごめん…キャッチ入ったから、かけ直す』

『わかった』





pipipipi…

藍…?



『知夏っ』

通話ボタンを押した瞬間に聞こえた

叫び声みたいな藍の声



『どうしたん…?』

『侑也がぁ…』



『侑也が?』


『侑也が…意識ないってぇ…グスン…』



藍、泣いてる?



そっか

藍は
侑也の前カノ



まだ

好きやったんや









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