小指に繋がる一本の糸
『ん−
咳だけおさまったら退院していいよ』
「ほんまですかっ?」
『なんで私が嘘つくん』
「よかった」
『ゴホッ……やったね…』
やっと退院できる
「母さんに電話してくるわ」
『ゴホッ…はいはい』
退院したら
もっと頑張って家事しないと
勉強も頑張らないと…
次の日
知夏は退院した
日曜日の夕方やった
ピンポ-ン
家にインターホンが鳴り響いた
家にいたのは
知夏としずくだけ
お母さんは仕事
琉依は陸上の練習
行かへんって言い出した琉依を
知夏が無理矢理行かした
この日
琉依が家にいたら
あたしの気持ちは
まだ楽だったのかもしれない