小指に繋がる一本の糸








「俺がおるやろ??
ずっと…そばにおるやろ…」


『うん…』





気付いた時はもう夜中の01時


「カレーあるから食べ?」

『うん…』

「食べて風呂入って早く寝れ」

『うん…』




カレーなんて

何年ぶりに食べるだろう…




お母さんが作った

最後の料理が


カレーだった





その日から


知夏は泣かなくなった




侑也のお葬式でも

泣かなかった





涙なんて01瞬も浮かべず



ただ
静かに


暗い遺影を見つめていた






『なんで泣かんの?』
『薄情やな』


もう動じない




『だって泣くにあたいすることじゃないし』


知夏の言葉に

夏稀はだまって知夏を見守ってくれた









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