School Daysなレクイエム!
「裕……也?」

一瞬、重い鉄の塊が体の中を下りていく衝撃。
おびただしい数の虫が俺の背中を這っていく悪寒。
外の勧誘の雑音も聞こえなくなり美しく舞う桜の花びらもその動きを止めたように感じた。

裕也の顔が幽鬼のように見えたからだ。

以前もこんな感覚に襲われたことがあった。
小学生の時、裕也が中学生とケンカになった。年上にも関わらずボコボコにし、顔を踏み付けながら笑っていた。
その時の笑みに似ていた。

――空気が痛い

静閑の中、カラカラに渇いた口を開け、裕也の突然で異様な威圧感に負けぬよう声を絞り出して言った。

「……何が不思議なんだ?」
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