恋あめ
壱章
4月9日
「亜季菜!早くしなさい!」
「は-い。」
私は、南園亜季菜。今日から鵬翔高等学校に入学するんだ。中高一貫だからそのまま高等部に進級みたいなものなんだけどね。
「ねぇ、お母さん!ネクタイ結べない!どうしよう汗」
「だから昨日の夜練習しとけって言ったでしょ!?」
「すみませ-ん涙」
とまぁ、私は失敗ばかりの失敗女なんです。昨年の体育祭...私は皆で作った看板にペンキを撒き散らし、多大な迷惑をかけました涙
(高校生になったんだ!私も変わらなくちゃ!)
なんて思いながらお母さんにネクタイを結んでもらって、いざ学校へ!!
学校に着くと、靴箱に走った。ほとんどの靴箱にスリッパは無かった。
(ヤバっ!!早くしなきゃ!!)
階段へ走っていると、1人の男子生徒が目についた。
(まさか、松岡先輩?)
松岡先輩は、昨年の副生徒会長で今年の生徒会長。しっかりしてて頼れるイケメン!!
(ぁ!!振り向いた!!)
私の予想通り、その男子生徒は松岡先輩だった。挨拶の準備なのか、松岡優輝先輩は校長室に入っていった。
私が中学生だったときは、校則に「高校棟に入るな」とあったから松岡先輩をパンフレット以外に見るのは初めてだった。
(かっこいい...)
扉の閉まる校長室の方を見ながら、私はボケッとしていた。
「コラ-ッ!!南園!!お前遅刻だぞ!!!!」
「ぁ"-!!すみませ-ん汗」
ボケッと廊下に突っ立っていた私に罵声を浴びせたのは、担任の堀田だった。
(なんか、高校生になってもなんにも変わってないような気がする...。)
私は色んな意味でショックを受けながら教室に向かった。