恋あめ
ガラガラ
「うわぁ!!半分になってる...」
教室の扉を開けると、そこには半数しかいないクラスメ-トがいた。
(こんなに減るなんて...)
「おはよ、亜季菜!大輔達も辞めたし、しょうがないょ...」
教室に入ってすぐ声をかけてきたのは、中学の時、1番仲の良かった浅倉知佳だった。
知佳は山内大輔と仲が良かった。遊ぶにしてもなんにしても二人は必ず一緒にいた。そんな大輔は、他5人、大地、堅、拓実、俊哉、春季とつるんでいた。
6人は皆サッカーをしていて、将来もサッカー関係につきたいと望み他の学校へ行った。その他にも数名が辞めていった。
「本当に辞めちゃったんだね...。」
15人にまで減ってしまった教室は、あまりにも寂しかった。
「しょうがないょ。寂しいけど、あたしには亜季菜がいるしね!!」
「知佳ぁ!!ありがとう!!」
知佳の優しい言葉に励まされて、私は席についた。
ガラガラ
担任の堀田が教室に入ってきた
「今日は入学式だ。しっかりした態度でのぞむように。ぁ、それから...」
1拍おいて堀田が私を見た。
「南園。入学式の挨拶はお前がしろ。」
「...は!?私!?なんで!?」
「3000人が受けた鵬翔の入試でお前が1位だったからだ。」
数秒の沈黙が続いた。
「「「「ぇーっ!!」」」」
教室が揺れた。
この私が1位?先生、間違ってない?
「だから南園、頼んだぞ。」
堀田は肩をポンと叩き、セリフの書いた紙を渡し教室を後にした。
「なんで私なのーっ!?」
(嫌な予感がする...)
私の高校生活は不安定に始まった。