世界で一番の贈り物

さきちゃん


“さきちゃん”

これはクラスメイトの名前

学校が終わると たまに遊んでた

家から近い公園で

さきちゃんの親は学校の先生をしてて

さきちゃんは頭も良くて

運動もできる 歌も上手だった

私が勝てるモノなんて

一つもない

でも さきちゃんは私と

遊んでくれた

一人っ子の私は人と遊ぶのが

すごく好きだった

少しくらい意地悪されたって

遊んでくれるだけで良かった

あの日も そうだった


あなたが買ってくれた靴を履いて

さきちゃんと遊んでた

木登りをすることになって

私は公園の隣にある椿の木に登った

その時 あなたが買ってくれた靴が

下に落ちた

私は さきちゃんに靴を取ってと

言った…

だけど さきちゃんはその靴を

どこかに隠して

そのまま帰ってしまった

私は木から降りて

門限の時間まで探した

必死に…だけど見つからなかった

片方だけ履いて片方 裸足で

私は家まで帰った
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