雨のち曇り



「…愛?」



泣いている私を心配そうに見つめてくる。



「うん。私も…幸樹が好き」



幸樹は私に抱きついてきた。



幸樹の匂いがする。


この温もりが、また私のものになる。



「じゃあ、もう俺行くわ」



え!?どこに行くの?



ずっとそばにいてよ。



「バイバイ」



と笑って言った幸樹が、だんだん目の前から消えていく。


ゆっくり、ゆっくり…。



やだよ…、行かないで!



ずっとそばにいて!







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