Distance
文化祭は10月。

まだ一ヶ月もあるというのに、実行委員の仕事は毎日山積み。
おかげで、何日も部活にいけない日が続いた。



「あぁ~・・ダリぃ」


持っていたホチキスとプリントの束を机に投げ出した大谷は、大きく伸びをした。


「誰のせいでこうなったと思ってんの?」


早く作業を終わらせたいあたしは、手を動かしながら大谷を睨みつける。


「え、俺?」

「あたりまえじゃん」

「俺何もしてねーよ。お前がつっかかってきたんじゃん?」

「あんたがライオンとか言うからでしょ」

「ライオンじゃねーよ。最初に言ったのはカバ」


そう言って、大谷はいたずらっぽく笑った。
この笑顔が、なんかムカつく・・。


「どっちでもいいから!早く仕事してよね!!」

「はいはい」


大谷はめんどくさそうに返事をして、再びホチキスを握る。



それからしばらく、無言の時間が続いた。





「・・・終わったぁ~!!じゃ、あたし部活行くから。それ、終わったら先生の机に出しといてね」


あたしはそう言って、席を立った。












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