Distance
大谷に指差されて、あたしは自分を見る。
「―・・あ!」
そうだ・・ジャージ・・・
あたしは急に恥ずかしくなり、頭を抱えてその場に座り込んだ。
「どこの不良姉ちゃんかと思った」
そんなあたしに、大谷は笑をこらえながら言う。
「はぁ!?」
「いや、コンビにの前とかにたまってそうじゃん・・」
「最悪・・」
着替えて来ればよかった・・・!!
「おおたにー!!なに女にかまってんだぁー!?こっちきて手伝ってやれー!!」
グランドの向こうから、コーチらしき人が叫んだ。
「・・女だって」
大谷は、「クククッ」っと笑った。
「・・・帰る」
あたしはそう言って立ち上がると、大谷に引き止められた。
「あっ、待てって!もうちょっとで休憩だからさ。見てってやれよ」
「おーおーたーにー!!お前は遊びにきたのかぁー!?」
後ろから、またコーチらしき人の怒鳴り声が聞こえてくる。
「相変わらずだなぁ・・」
大谷は懐かしそうにそう言うと、グランドのほうに走って行った。