Distance
「朝ごはん、まだなのに・・」
なんて言いつつ、あたしは近くのベンチに腰を下ろす。
「ふ~ん・・上手いんだ」
小学生と一緒にグランドを走り回る大谷。
バレーをしているときよりも、楽しそうに見える・・・。
それからしばらく、あたしは練習を見ていた。
「休憩!10分だぞー!!」
さっきのコーチが叫んで、小学生たちが校舎の日陰に走っていく。
ジャージを脱いだり、お茶を飲んだり。
汗びっしょりだけど、みんな楽しそう・・
浩太は、まだグランドで大谷と何か話しをしていた。
「姉ちゃん、まだいたの?」
そろそろ帰ろうとベンチから立ち上がると、浩太が駆け寄ってきた。
「もう帰る」
「あのお兄ちゃん、おもしろいな!」
浩太はグランドでリフティングをしている大谷を見た。
「そう?」
「姉ちゃんの“コレ”?」
そう言って、浩太は親指を立てた。
「アホか!・・どこでそんなの覚えたんだよ」
「まぁね~♪」
浩太はなぜか得意そう。