Distance
「裕香にも、見せてあげたかったな・・」
なぜか、ふとそう思った。
振り返って、グランドを見る。
両足を器用に使ってボールを蹴り続ける大谷。
右足で高くボールを蹴り上げたかと思うと、落ちてきたボールをそのままゴールに向かって蹴る。
大谷の蹴ったボールは、奇麗な弧を描いてゴールに入った。
「「「すっげー!!!!」」」
それを見ていた小学生が、一気に大谷のもとへ駆け寄る。
大谷は笑って、汗にぬれた髪をかきあげた。
―・・ドキッ
そんな大谷を、
サッカーをしているときの大谷を、
不覚にも
“カッコイイ”
そう思ってしまった・・。