Distance


もう文化祭まで一週間。

今日から文化祭準備で短縮授業だ。



「麻耶さぁ、裕香となんかあった?」


壁新聞を作るための模造紙やマーカーペンを運びながら、彩が言った。


「・・まぁ、ね」


あれから、未だに裕香とは少し気まずい。

会話はするけど、妙にギクシャグしてしまう。


「大谷のこと?」


・・・彩は鋭い。


「なんか、そんな感じ・・・?」


あたしたちは、教室の空いているスペースを見つけて適当に道具を置いた。


「そっか。今もさぁ、裕香違うグループいるから・・」


そう言って、彩は裕香のほうを見た。

班分けや役割分担はナシで、ほぼ自由なグループで行われているこの作業。
いつもならあたしたちと一緒にいるはずの裕香は、別にグループと一緒に作業をしている。



「さ、あたしたちもやろ!」


そう言って、彩が模造紙を広げたときだった・・・




「平岡ぁー!!」


ウワサをすればなんとやら、だ・・・


大谷が教室のドアからあたしを呼んでいる。


「何ー?」


教室内が騒がしいため、あたしは少し大きな声で言った。


「実行委員、集合だってー!!!」


大谷も、少し大きな声で言った、


「・・はぁ!?聞いてないし・・・」


あたしはチラッと彩に視線を向ける・・


「いいよ。しょうがないじゃん!あたし適当なとこ入れてもらうよ」

「・・ゴメン!」


あたしはそう言って、教室を出た。












< 39 / 72 >

この作品をシェア

pagetop