Distance
もう文化祭まで一週間。
今日から文化祭準備で短縮授業だ。
「麻耶さぁ、裕香となんかあった?」
壁新聞を作るための模造紙やマーカーペンを運びながら、彩が言った。
「・・まぁ、ね」
あれから、未だに裕香とは少し気まずい。
会話はするけど、妙にギクシャグしてしまう。
「大谷のこと?」
・・・彩は鋭い。
「なんか、そんな感じ・・・?」
あたしたちは、教室の空いているスペースを見つけて適当に道具を置いた。
「そっか。今もさぁ、裕香違うグループいるから・・」
そう言って、彩は裕香のほうを見た。
班分けや役割分担はナシで、ほぼ自由なグループで行われているこの作業。
いつもならあたしたちと一緒にいるはずの裕香は、別にグループと一緒に作業をしている。
「さ、あたしたちもやろ!」
そう言って、彩が模造紙を広げたときだった・・・
「平岡ぁー!!」
ウワサをすればなんとやら、だ・・・
大谷が教室のドアからあたしを呼んでいる。
「何ー?」
教室内が騒がしいため、あたしは少し大きな声で言った。
「実行委員、集合だってー!!!」
大谷も、少し大きな声で言った、
「・・はぁ!?聞いてないし・・・」
あたしはチラッと彩に視線を向ける・・
「いいよ。しょうがないじゃん!あたし適当なとこ入れてもらうよ」
「・・ゴメン!」
あたしはそう言って、教室を出た。