Distance
それから、あたしたちは文化祭準備の時間になると決まってあの踊り場に行った。
くだらない話をしたり、
宿題をしたり、
“屋上の扉を開ける!”
とか言って、挑戦してみたり・・
大嫌いだった、2人の時間が、
今はとにかく楽しいんだ・・
「なぁ、コレどーやんの?」
大谷が数学の問題集をあたしに差し出した。
「解かんないの?」
「おう。ぜんっぜん」
「・・・バカ」
「うるせー、ブス」
「もう教えてやんない」
前は本気で喧嘩してた会話も、今は冗談としてうけとれる。
あたしも大谷も相変わらず毒舌だけど、笑いながら言い合える。
「ウソです。スミマセン」
「しょーがないなぁ・・これは、この“x”をココに代入して・・・」
――・・
―・・
『完全下校、30分前です。各クラス、教室の片づけを行ってください』
いつものおじさんの声がした。
どうやら、この放送は教頭がやっているらしい。
「お、今日も相変わらず爽やかじゃねぇな!」
「戻ろうか」
この放送を聞いてから教室の戻るのが、お決まりのパターン。