Distance
Chapter ⅱ. 壁

新学期





「・・・ぁ」


あたしは掲示板の前で、小さく声を漏らした。


―4月。

あたしたちは、今日から3年生になる。



1組から順番に、表を目で追っていたあたし。
なぜか、自分の名前よりも先に大谷の名前を見つけてしまった。



「麻耶ぁ!また同じクラスだよー!!」


そんなあたしに、彩が抱きついてきた。


「本当!?やったぁー!!」


大谷の名前を見つけたのは3組。

そのクラスに、あたしの名前はなかった。


・・ただ、もう一人の名前も目に入った。



「麻耶、彩・・離れちゃったね」


2人で飛び跳ねていたあたしたちに、裕香が残念そうに声をかけた。


「そーだね・・でもさ、3組と4組じゃん。体育も一緒だし、休み時間も遊びに行くから!」


そんな裕香をなだめるように、彩が言う。


「それに、ほら、大谷と同じクラスじゃん!!」

「・・うん!」


その一言で、裕香はにっこり笑って頷いた。




そう、3組の表で見つけたのは、



“大谷嘉樹”


それともう一人・・


“中崎裕香”










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