Distance
_ ガラッ _
教室のドアが開いて、このクラスの担任であろう先生が入ってくる。
「うっわ、最悪・・・」
後ろの席で、彩がつぶやいた。
おばさんだ・・・
「・・姑かよ」
あたしは小さくつぶやくと、頬杖を付いて窓の外を見た。
1・2年生の時は1組だったから、教室から見えたのは先生たちの駐車場と通学路だった。
大谷と、よく道を通る人を観察しては“あの人はこれからどこに行く”とか“あの服は何円”とかくだらないことを想像してた・・・
今、この教室から見えるのは南校舎と中庭。
放課後や休み時間以外、めったに人なんて通らない。
このかわりばえしない景色が、“3年生になった”という現実を、あたしに突きつけている気がする。