Distance

「―・・さん、平岡さん!」


「・・え!?あ、はい」


ボーっと窓の外を眺めたまま、おばさんの話を全く聞いていなかったあたしは、慌てて前を見た。



「名前、書いてください」


そう言って、おばさんが差し出した1枚の紙。

あみだくじが書いてある。


「あぁ、席替え・・・」


あたしはペンケースかたシャーペンを取り出し、くるくると回した。


1、4、6、7、・・・・

残った番号を確認して、去年の2学期を思い出した。



“じゃぁ、ラッキーセブンで♪”




あのとき、あたしが「7」じゃなくて「4」を選んでたら、どうなってたかな・・


大谷を好きになることもなかったんだろうな・・

まだ、喧嘩ばっかりしてるかな・・




「・・平岡さん!」


また一人で考え事をしていたあたしは、おばさんに怒鳴られて我に返る。


「あぁ、スミマセン」


あたしは小さくそう言うと、「4」と書かれた線の上に、「平岡」と名前を書いた。






















< 64 / 72 >

この作品をシェア

pagetop