Distance
「移動は終わりましたね?それでは・・」

おばさんが話し始めたときだった。


「せんせー!!」


突然、大谷が大声で叫んだ。


「なんですか!?」

おばさんが、少し驚きながら言う。


「次の席替えっていつですかぁー?」

「3学期ですけど、何か?」

「席、かえてもらえませんかぁ?」

「目が悪いんですか?」

「いえ、視力だけは昔からいいです」


何言い出すんだ、コイツ・・。
何か、嫌な予感がする。


「なら無理です」

「先生!俺が3学期までに死んでもいいんですか!?」

「死ぬ?大谷君が?どういう意味?」

「こいつ、めっちゃ怖いんですよ!!」


大谷があたしを指差して、大声で言った。
クラスのみんなが、どっと笑う。


「ちょ・・ッ、何言ってんのよ!!」


あたしは思わず席を立った。
顔が真っ赤になっているのが、自分でもわかる。


「キャー!先生、助けてー!!」


顔に似合わない女言葉で叫ぶ大谷。
また、みんなが笑う。




もう、本当に最悪だ。













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