Distance
「仲良くなったねぇ」
あたしとタカのそんなやり取りを見て、彩が言う。
「別に~」
あたしはもう一度自販機にお金を入れると、ミネラルウォーターのボタンを押した。
「前まで全然話さなかったじゃん」
「席が隣になったりとか色々あったから!」
あたしはそう言って、体育館に戻った。
その後を、彩がニヤニヤしながらついてくる。
「白崎って、リベロ??」
「うん」
あたしと彩は、体育館の中心にあるネットの向こうを見た。
タカも大谷と同じバレー部だと知ったのは、最近のこと。
いくら話す機会がなかったからって、2年間もタカの存在に気づかなかったことには、自分でも驚いた。
_ バシッ _
ネットの向こうで、大谷がスパイクを決めた。
今も相変わらず、あたしが見ているのは大谷ばかり。