やまとなでしこ


「ごめんね、伊藤くん。忙しいのに。」
「や、いいよ。それより話って何?」

私が、君みたいな変態に告ると思う?
ソワソワすんじゃねえ。
心の底から気持ちがワルイ。


「あの、ね。私、実は斉藤くんが好きなの。」

いとう と さいとう を間違えられないように″さ″の部分を強調した。


「は?」
「だから、私と伊藤くんが付き合ってるとか、あまり言わないで欲しいんだけど…。」

「なんだよ、ソレ。あの一夜はなんだっ「あれは、だって、伊藤くんが怖かったんだもの。」

うつむき加減で見上げる。



すると、伊藤くんがニヤリと笑った。





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