座りの悪い盆(信州シリーズ1)
清一の決意
その頃清二は春子の運転する車で田舎の凸凹道を
のろのろと走っていた。助手席で悪態をつく清二、
「くそっ、今に見ていろ殺してやる。兄貴さえいな
ければ、あのババアがくたばれば財産は全部
わしのもんだ。10億の財産は全部わしのもんだ」
くわえタバコで運転しながら春子はニタリと笑い、
さげすみの目で清二を見ていた。
『そのあとはそっくり私のものよフフフ』
深夜の塩山邸、一部屋だけぽつんと明かりが点いている。
清一とヨネが、ヨネの寝室で話している。
「それでお前、結婚を?」
「小百合さんさえよければ是非」
「そりゃいいに決まっとるじゃないか。明日妹と本人に
話をしよう。来春東京から越してくるにしてもその
ほうがつじつまが合うよな」
「ああ、そのほうがいいと思う・・・・それからもう一つ」
「もう一つ?」
「もう一つお願いがあるんだけど。遺言状を書いといて欲しいんだ」
「遺言状?」
「弁護士を通して正式の遺言状を書いて欲しいんだ」
「それっておまえ・・・」
「長男清一の取り分は十分の一。後は清二にやってくれ。
全て現金化した後と一筆書いといてくれたら助かるんだがな」
「山林もこの屋敷もかい?」
「ああ、もちろん」
「あっさりしてるね、お前は」
「完成したら真っ先に清二を呼んでその旨知らせてあげること」
「・・・・・」
「これしか清二を立ち直らせる方法はないと思う」
「お前って子は、ほんとに」
「よく考えてみて母さん。じゃ、おやすみ」
邸内の明かりがぱっと消えて闇夜。美しい星空。
のろのろと走っていた。助手席で悪態をつく清二、
「くそっ、今に見ていろ殺してやる。兄貴さえいな
ければ、あのババアがくたばれば財産は全部
わしのもんだ。10億の財産は全部わしのもんだ」
くわえタバコで運転しながら春子はニタリと笑い、
さげすみの目で清二を見ていた。
『そのあとはそっくり私のものよフフフ』
深夜の塩山邸、一部屋だけぽつんと明かりが点いている。
清一とヨネが、ヨネの寝室で話している。
「それでお前、結婚を?」
「小百合さんさえよければ是非」
「そりゃいいに決まっとるじゃないか。明日妹と本人に
話をしよう。来春東京から越してくるにしてもその
ほうがつじつまが合うよな」
「ああ、そのほうがいいと思う・・・・それからもう一つ」
「もう一つ?」
「もう一つお願いがあるんだけど。遺言状を書いといて欲しいんだ」
「遺言状?」
「弁護士を通して正式の遺言状を書いて欲しいんだ」
「それっておまえ・・・」
「長男清一の取り分は十分の一。後は清二にやってくれ。
全て現金化した後と一筆書いといてくれたら助かるんだがな」
「山林もこの屋敷もかい?」
「ああ、もちろん」
「あっさりしてるね、お前は」
「完成したら真っ先に清二を呼んでその旨知らせてあげること」
「・・・・・」
「これしか清二を立ち直らせる方法はないと思う」
「お前って子は、ほんとに」
「よく考えてみて母さん。じゃ、おやすみ」
邸内の明かりがぱっと消えて闇夜。美しい星空。