座りの悪い盆(信州シリーズ1)
奥からいとこの小百合が可愛いエプロンをつけて出てきた。

「すいません。奥の厨房にいたもんですから、
お帰りなさいませ、清一お坊ちゃま」
「何だ、小百合さんか、お袋は?」

清一と亜紀、玄関を上がり奥へ進む。廊下を歩みながら
小百合が、
「ちょっと具合が悪くて休んでおられます。
こちらです、お坊ちゃま」

清一が笑いながら、
「その、お坊ちゃまと言うの止めてくれない」
「はい、それじゃ・・清一兄様」

三人とも吹き出して笑い声が響く。
「清一さんでいいよ。・・エコーランドの店のほうは?」
「母と交替で見てますよ」
「そう」
三人ヨネの寝室に近づく。
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