ミラヘノラブレター

アイツ以外の時空侵入者も特になく、今日の仕事を終える。
毎日この繰り返し。
休みの日も特にやる事はないしな…。

社内を歩くと、1枚のポスターが目に入った。

『歌姫サアラ コンサート』

(またか……。)

アイツは本当に有名人。
時空でも越えてこなければ逢う事もなかった。

「ヤト、そんなに私に会いたかったの?」

「え?」

振り返るとサアラだった。

「ポスターなんか見ちゃって。」

「な!!お前!!何で!!」

「このコンサートこの中だからね。」

確かにポスターにはご丁寧にこの会社内の地図までついていた。

だからってフラフラ歩けるようなところじゃない。
犯罪者を捕まえてある塔だってある。
能力や才能を認められれば誰でも雇われる。
決して良い奴ばかりでもない。

「ね。星空が見たい!」

「な……。」

人の心配もお構いなしな、お姫様。
なんだって懐かれちまったんだろう…。

           *

「わーい!!綺麗!!」

なんだかんだで連れてきてしまう辺りダメなんだろう…。
だけど星空は俺も好きだから…仕方がない。

「ヤト、こんな所知ってたんだ!!ずるい!!」

この場所は"ココ"へ来てから見つけた、俺の特等席。
星が降るくらい見える。
周りに建物もないから明かりもない。
普段から人もほとんど訪れない場所。

「連れて来たんだからズルくないだろ。」

「や、今まで黙ってたんだからずるい!!」

「……はぁ。」

これなら歌姫が見つかる事もないだろう…と思って連れてきたんだが…失敗だったか?
俺の平和な場所が減った気がする。

「あんまり暴れてこけるなよ。」

「解ってる!!……わっ!!」

ドシンッ!!

(お約束な奴だ…。)


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